誰もが人生の中で、恩人という人との出遇いをお持ちだとおもいます。そして、その恩人がたいへん困っておられるということを耳にしたとき、みなさんならどうされるでしょうか?
恩に報いるということは、たいへん難しいことです。両親から生を受けて、今私はここにあるのですが、その恩返しといわれれば、恩を仇で返しているのがせいぜいの私です。けれど、直接の恩返しにはならなくても、精一杯生を受けたことを喜びながら生きていれば、それもまた私なりの恩返しになりはしないでしょうか。
本書は、三十四篇の詩から構成されていますが、そのいずれにも題名とは別にもう一つ、仏教用語での題が付けられています。最初の題名は詩を象徴するもの、次の仏教用語の題は詩の内容を顕わすものです。人は悲しいときに涙を流しますが、この涙にあたるものがはじめの題で、悲しいという心がもう一つの題名だと考えていただければ良いのではないでしょうか。本書はとても無教養なものですが、これからの世界を担う幼少の子どもたちに、少しでも仏教の精神を伝え、実りのある生活の礎になればと切に願うばかりです。 |