![]() |
浅野教信先生が喜寿をむかえられ、その祝いにご縁をいただいたものが相集い、ささやかながら記念の一文を奏することになりました。 龍谷大学在職中の先生の研究室での雰囲気は、講義における厳しい態度とは一転して、極めて気さくで、穏和な態度で学生に接せられました。それゆえ研究室には、先生のゼミ学生のみならず、学年や学科専攻に関係なく、多くの学生が自由に出入りをしていました。いま当時の状況を想像しますと、それは先生にとって迷惑千万であったのではないかと思います。ですが、公私ともにご多用であったにもかかわらず、研究室での先生は極めて大様に学生に対応されていたように記憶しています。先生が在職中には、そんな先生を囲む会として、研究室へ出入りした者を中心に「愚問会(ぐもんかい)」なる会が自然発生的にできました。そして、その会を中心として平成元年(1989)に愚問会法話集として「念仏のひぐらし」を出版いたしました。さらに平成6年(1994)には再び同集Uとして「大悲のいのち」を、さらに、先生が龍谷大学を定年退職される折の平成10年(1998)には同集Vとして「大悲のちかい」を出版いたしました。 学生時代を振り返ってみますと時の経過が嘘のようにも思えます。しかし、間違いなく時は過ぎ去り、青年であった同門の貌も、いまや壮年へと歳を積み重ねて来ました。浄土真宗の僧侶として、宗教不在、宗教不信の現代社会の第一線で、おのおの苦しみ、もがきながら伝道教化の日々を送っているのも事実です。 先生の喜寿記念として、このような散文を集めたものを出版する事が相応しいのかどうか、忸怩たる思いもありますが、先生に何らかの示唆をうけた者が、その後どの様な思いをもって人生を歩んでいるのか、それぞれの思いの一端を明かすことによって、師恩に一分でも報いることができればと願っていることであります。 なお、このような法話集においては異例なことかもしれませんが、現在、海外で開教使として活躍している、かつての膝下生については、英文でも同時に法話を掲載いたしました。 |
愚問会有志一同 |