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住職のひとこと 日本には昔から鬼退治の話があります。節分には豆まきが有名ですが、京都では恵方巻きや玄関先にイワシを吊して邪鬼を払う習慣が今でも普通にあります。自然災害や病気の流行が鬼の仕業であると考えたからでしょう。 今、若者に大変人気の漫画に「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」というのがあります。これも鬼退治の話です。鬼が人を食べるので、退治しないといけないという話なのですが、自分から鬼になった者もいれば、いやいや鬼になった者、いつの間にか鬼にされた者もいます。 ある布教使の話です。お寺の婦人会の方が人の多い電車に乗っていたそうです。向かい合わせに長い椅子がある車両です。中高年のその女性は、椅子に座っていたのですが、途中から乗って来た若い女性が隣に座るなり、自分の方に足を組んできました。非常識な、と思いながらも黙っていると、今度は化粧。さすがに注意をすると不機嫌な顔をして謝りもしません。そして駅に着くと、立ち上がるなり「うるせえ、ババア」という捨て台詞を残して降りていったそうです。 腹が立っておさまらないその女性は、もうひとこと若い娘に文句が言いたくなり、同じ時間の電車に次の日も、その次の日も乗ったそうですが、とうとう出会うことはできませんでした。 この一部始終をお寺で話し、お念仏を称えたらすっきりしました、という美談ではありません。仏の教えを聞こうが、念仏称えようが、思い出すたびに怒りがこみあげてくるというお話です。 鬼のような心は死ぬまで消えないことでしょう。これは決して人の話ではなく、縁があれば私にも巡ってくる話です。こんな恐ろしい私が救われていく道はあるのでしょうか。 自力では救われないからこそ、助けたいと立ち上がってくださった仏さまがいらっしゃいます。阿弥陀さまのお慈悲によってしか救われる道はないようです。 |
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あなかしこ あなかしこ 南無阿弥陀仏 | ||
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